よくあるご質問

QuestionPEファンドの業務に関して

Q
投資ファンド、PEファンド、バイアウトファンドの違いは何ですか?
A

まずファンドとは、資金や基金、又はそれらを運用する組織や団体を意味し、投資ファンドとは、投資家からお金を集めて投資し、利益を追求するファンドのことで、投資信託等も含む幅広い概念です。

PEファンドのPEとはプライベートエクイティ(private equity)の略で、未上場企業の株式を意味します。
広義のPEファンドとは、ベンチャーキャピタル(スタートアップへの成長資金を提供する投資ファンド)等を含めて、未上場企業の株式を取得する投資ファンドを指しますが、狭義のPEファンドは、未上場企業の過半数の株式を取得し、経営権を得る投資ファンド(又はそのようなファンドの運営会社)を意味し、通常は、日本でも欧米でも「PEファンド」と言えば狭義のPEファンドを指します。

バイアウトファンドは「買収ファンド」を意味し、狭義のPEファンドと同義と考えて差し支えありません。
本サイトでは「PEファンド」という言葉は、狭義(=バイアウトファンド)で使っています。

尚、企業を売却することを「バイアウトする」という言い方がされることがありますが、本来バイアウトに売却の意味はなく、誤用が広まったものです。

Q
PEファンドの投資方法について教えてください。
A

一般的な形態としては、投資事業有限責任組合等(これらがファンドと呼ばれます)を組成し、ファンドの運営者であり無限責任組合員であるGP(ジェネラルパートナー)と、有限責任組合員であるLP(リミテッドパートナー)がファンドに出資します。

実際に企業に投資する際には、SPC(特別目的会社)を設立し、ファンドからSPCに出資し、金融機関から借り入れをし(LBOローンと言われます)、出資金と借入金を合わせた資金で、対象会社の株式を取得します。
そして、買収後にSPCと対象会社を合併し、対象会社のキャッシュフローで借入金を返済していきます。

尚、LBOローンを活用せずに、ファンドの自己資金のみで買収することを「フルエクイティ」による買収と言います。

Q
PEファンドはどのように利益を出すのですか?
A

PEファンドは以下のいずれかの方法でエグジット(投資資金の回収)します。

  • 株式を第三者の会社に売却(トレードセールと呼ばれます)
  • 対象会社をIPOさせて、IPO時の売り出し又は上場後に市場で株式を売却

株式取得時(投資時)よりも高い株価で、エグジット時に株式を売却することにより利益(キャピタルゲイン)を得ます。

株価を上げる方法としては、利益水準の向上、EV/EBITDA倍率の向上、ネットデットの削減(ネットキャッシュの増加)等があります。

Q
出資者(GP及びLP)の報酬はどうなりますか? またハードルレートとは何ですか?
A

まずハードルレート(hurdle rate)とは、最低限期待される収益率のことで、IRR(internal rate of return、内部収益率)の考え方で設定されます。

例えば、ハードルレートを8%と設定した場合、回収した資金が108%を上回るまでは、すべてLPに分配されます。108%を上回った部分については、108%から110%の部分については、キャッチアップといってGPに成功報酬が分配され、110%を超えた部分については、成功報酬として、LPに80%、GPに20%分配されます。

GPはこれら成功報酬以外にも、管理報酬(出資コミットメント額/実投資額の年間2%等)を得ます。

Q
なぜPEファンドは投資実行時に、金融機関からの借入金を活用するのですか?
A

借入金を活用することで、少ない手元資金で買収ができ、またキャッシュフローから借入金を返済し、企業価値をあげた上で売却すれば、全額手元資金(フルエクイティ)で投資していた場合と比べて、投資利回りが高くなるためです。
これをレバレッジ効果と言います。

金融機関からの借入金を活用して買収することをLBO(leveraged buyout)と言い、その際の借入金をLBOローンと言います。

Q
PEファンドが買収する際に、活用されることがある「メザニン」とは何ですか?
A

メザニン(mezzanine)とは、英語で中二階(建物の1階と2階に間にある床部分)を意味します。財務諸表の貸借対照表の貸方(右側)において、下部に記載される資本(純資産)を1階、上部に記載される負債を2階に見立てて、資本と負債の中間的な性質を持つものをメザニンと呼びます。

具体的には、劣後ローンや優先株等がメザニンになります。これらは通常のLBOローン(シニアローン)より、返済順位が劣後し、資金の出し手にとってリスクは高くなりますが、その分、金利や配当が高く設定されます。

PEファンドが企業を買収する際、PEファンドがSPCに拠出する資本金とシニアローンで調達する借入金では資金が不足する場合に、メザニンが活用されます。

QuestionPEファンドに譲渡したい方向け

Q
どのような企業がPEファンドの投資対象になりますか?
A

急成長しているがまだ赤字というようなスタートアップは、通常PEファンドの投資対象になりません(これらはベンチャーキャピタルの投資対象です)。
PEファンドは、ある程度成熟していて、安定的に利益が出ていて且つ成長性がある企業に好んで投資します。
現状は利益が出ていなくても、事業の選択と集中、財務リストラにより再生を目指す企業に投資するPEファンドもあります。

投資類型としては、大きく分けて以下があります。
①後継者不在企業のオーナーの株式取得(事業承継)
②大企業の子会社・事業の切り出し(カーブアウト)
③PEファンド等の金融投資家間での売買(セカンダリーバイアウト)
④上場企業の非上場化(ゴーイングプライベート)
⑤事業再生(ターンアラウンド)

Q
PEファンドに譲渡するメリットは何ですか?
A

以下のメリットが考えられます。

  • PEファンドは、事業会社の買い手よりも良い金額条件を出すことがしばしばあります。したがって、条件重視で売却をするのであれば、PEファンドを譲渡先の選択肢に入れるべきでしょう。
  • 売却交渉の際には、一定の秘密情報を買い手候補に開示する必要がありますが、同業他社等に秘密情報を開示することなく、譲渡することができます。
  • どこかの事業会社の傘下に入るわけではないので、親会社と制度が統一されることがなく、会社の強みや独自性が維持されます。
  • 人材採用、リスクマネーの供給(例えば、同業を買収するための資金)、海外展開等の成長支援、および管理体制(ガバナンス、コンプライアンス)の強化等の経営支援を受けられます。
  • PEファンド主導で上場を目指せます。上場企業になれば、社会の公器として、信用性や知名度が向上し、顧客獲得や人材採用もしやすくなり、また社員にストックオプション等のインセンティブを付与することもできます。
  • PEファンドに売却する際に再投資をして、一部株式を持つことで、IPOした際等に、更に利益を得られる可能性があります(二段階エグジット)。
Q
PEファンドに譲渡するデメリットは何ですか?
A

以下のデメリットが考えられます。

  • PEファンドの投資期間は3年から5年くらいが多いですが、その後にどこに売却されてしまうかわかりません。上場を目指すことを前提としていたとしても、会社の業績や株式市場の状況により、100%上場できるとは限らないので、事業会社等に売却されてしまう可能性があります。
  • PEファンドは通常金融機関からの借入金を活用して買収しますので(LBOと呼ばれます)、譲渡後に対象会社のキャッシュフローから借入金を返済していく必要があります。
  • 管理体制が強化されたり、利益重視の経営になったりすることで、おおらかな企業文化が変容する可能性があります。
Q
PEファンドに譲渡した場合、現経営陣の処遇はどのようになりますか?
A

投資後の現経営陣の処遇については、決まったものはなく、すべてケースバイケースです。
売り手のオーナーの希望ありきで、PEファンド側と協議をして決定します。

Q
「二段階エグジット」とは何ですか?
A

オーナーが株式を譲渡する際に、全株式を譲渡すると同時にPEファンドと共に買収主体であるSPC(特定目的会社)に出資して、マイノリティ(通常10~40%程度の持株比率)の株主として残ります。
そして、ファンドと共同で経営し、数年後にファンドがエグジット(IPO又は第三者へ譲渡)する際に、一緒に株式を売却します。
このように二回に分けて株式を売却するため、二段階エグジットと呼ばれます。

最初に譲渡する際に、早期に一定の創業者利益を確定することができ、また二回目のエグジットで更なる創業者利益を得られることがメリットで、引退と創業者利益の極大化を同時に目指すことができます。

例えば、オーナー自らIPOしてその後も経営を続けていくことが(年齢その他問題で)困難な場合に、会社としてはIPOして上場企業として存続していって欲しいが、同時に、創業者利益を得て早期に引退への道筋をつけたいと考えるオーナーにとっては、二段階エグジットは有力な選択肢となります。

またオーナーが譲渡時に再出資をするということは、会社の成長性に自信を持っていることの表明となり、シグナリング効果が働いて、良い条件で譲渡できる可能性が高くなります。

Q
譲渡後も一部株主として残る場合、PEファンドのエグジット(二回目のエグジット)時に、自分の意見は反映されますか?
A

通常、PEファンドへの譲渡後も一部株主として残る場合は、ファンド側との間で株主間契約が締結されます。

株主間契約では、エグジットに関して規定されますが(ドラッグアロング(drag-along right)、タグアロング(tag-along right)、先買権(first refusal right)等が規定されます)、基本的には大株主であるPEファンドがエグジットの主導権を持つことになります。

ただし、このような法的な取り決めとは別に、実際にエグジットする際には、株主間で話し合って方針を決めていくことが一般的です。

Q
PEファンドに譲渡するためには、どのように交渉すればいいですか?
A

そもそもPEファンドの投資対象となる企業か、投資対象となる場合は、何を強みとしてアピールし、どのような売却希望条件を設定し、どのPEファンドに打診するか等を検討する必要があります。

その上で、概要書の作成、打診、面談、条件交渉、デューデリジェンス、最終契約交渉、クロージングの前提条件の充足、クロージング(譲渡の実行)というプロセスを半年間くらいかけて行います。その間にも、様々な情報開示、資料作成、質問への回答が必要になります。

これらの全プロセスに精通している場合は、売り手自らPEファンドと交渉することも可能ですが、通常はM&A仲介会社やアドバイザリー会社を使って交渉していくことになります。
また必要に応じてM&Aに精通した弁護士をつけてリーガルアドバイスを受けます。

QuestionPEファンドの投資先を買収したい方向け

Q
PEファンドの投資先を買収するメリットは何ですか?
A

属人的な経営を脱却し、組織としてしっかりと経営管理がなされていることがPEファンドの投資先を買収する最大のメリットです。

またPEファンドは、確実にエグジットできるように、売却の障壁となり得る問題点はなくすようにするため、コンプライアンス上の問題がない又は少ないこともメリットです。

Q
PEファンドの投資先を買収するデメリットは何ですか?
A

PEファンドは、良い条件で売却することが一つの使命でもあるので、売却時に1社のみの買い手候補と相対(あいたい)で交渉するということはあまりしません。
一般的には、数社から数十社に買収を打診するいわゆる入札形式で売却することがほとんどです。

また一次入札で、2~3社の買い手候補に絞り、複数社がデューデリジェンスに進み、その後の二次入札で最終契約交渉に進む買い手候補が選ばれることがよくあります。
したがって、最終段階まで独占交渉権を得られないことが多いといえます。
このように、最後まで他の買い手候補と競わされることがデメリットと言えます。

PEファンドから買収する場合は価格が高くなると思われがちですが、自らが投資家でもあるPEファンドは、投資先の会社が、その時の財務内容や市場環境でどれくらいの価格で売却できそうか良くわかっていますので、売却価格に対する過大な期待は持っていません。
いずれにしても相場価格の範囲内で売却価格が決まることがほとんどです。

Q
PEファンドの投資先はどのように買収検討できますか?
A

PEファンドの投資期間は3年から5年程度が多いので、投資して2年から4年経てば、近い将来に売却を検討している可能性があります。
しかし、これはあくまで一般論ですので、IPOの準備を進めている場合は売却はしませんし、もっと早期に売却することもあれば、何らかの理由で長期間保有することもあります。

いずれにしても、売却情報は公にされませんし、PEファンドは売却時に相対(あいたい)交渉はあまりしないので、PEファンドが(自ら又は仲介・アドバイザリー会社を使って)売却活動を始める際に、打診候補先リストに入ることが必要です。

PEファンドに自ら名乗り出て、買収意欲をアピールしておくことも可能ですが、資金力、買収意欲あるいはレピュテーションの観点から相手にされないこともあります。

M&A仲介会社やアドバイザリー会社によっては、各PEファンドと密に連絡をとり、それぞれの投資先のエグジットに関する方針についても理解している場合があるので、そのような会社を使ってPEファンドの投資先の買収を検討することが有用です。

Q
PEファンドの投資先の買収価格はどれくらいになりますか?
A

個々の企業の状況、業種や市況によってケースバイケースですが、一般的には対象会社のEBITDAを6倍から12倍してネットデットをマイナス(又はネットキャッシュをプラス)した金額程度が想定されます。
PEファンドは、(投資時もそうですが)エグジット時にEV/EBITDA倍率による目標/想定売却価格を必ず検討しています。

EBITDA(earnings before interest, taxes, depreciation, and amortization)とは、利払い前・税引き前・減価償却前利益のことで、簡易的には、営業利益+減価償却費で求められます。

あとは、今後の設備投資に必要な資金(capital expenditure)、市場環境、成長性、投資時の買収金額、買い手間の競争環境等がエグジット時の譲渡価格に影響します。

Q
PEファンドの投資先を買収する際、PEファンド側にも一部株式を継続保有してもらい、共同経営していくことはできますか?
A

例外的なケースにおいては、PEファンドが一部株式(マイノリティ株式)を残して売却することもありますが、PEファンドが第三者への譲渡でエグジットする際には、通常は保有株式をすべて売却します。

PEファンドが投資する前の旧オーナーが一部株式を保有している場合も、PEファンドがエグジットする際に、旧オーナーも保有する全株式を売却するケースが多く(旧オーナーが売却を望むケースと買い手が対象会社の全株式の取得を希望するケースがあります)、PEファンドの投資先を買収する際には、100%株式を取得することが一般的です。